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「あら、いらっしゃい。もうこの界隈には来ないのかと思っていたわ。元気だった?」
カウンターの中から笑顔を見せてくれたのは、チーママのチュヤ。
「元気よ。ね、オニクママは?」
カウンターに腰掛けながら、asuが尋ねる。
「今日は……っていうか、今週いっぱいお休みなの」
この声はボウモア。振り返れば、長身でスタイル抜群の体にピッタリとフィットした、すみれ色のドレスを着た彼がいた。
「今週いっぱいって……パパと旅行?」
私はチュヤが渡してくれた、熱いおしぼりで手を拭きながら聞く。
「うーん。っていうかぁ……ま、アンタたちならいっか」と、ボウモアは私たちふたりの間に顔を寄せてきた。
「なに、訳あり?」私たちは思わず声をひそめる。
ボウモアは「カラダのメンテナンス」と囁くと、悪戯っぽくウインクした。
それを聞いた私たちは、顔を見合わせてニヤリと笑う。
「なによぉ、アンタたち。女のくせに、ろくに手入れもしないひんにゅーが、アタシたちを笑うわけ?」
チュヤが、ボトルのキャップを手際よく閉めながら睨む。
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