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エブリスタの中の人
私は子供の頃から本を読むのが好きだった。
父も母も特別に読書家というわけでなく、家に本が溢れていたわけでもなかったのだが、私はどこかから本を見つけてきては読み耽っていた。
どうしてそれほどまで本にとり憑かれてしまったのかは自分でもわからないが、たった一人で本の中に描かれた世界に沈み込むことが、私には心地よかった。
友達と一緒に遊んだりするよりは、一人で本を読んでいる方がずっと気楽だったし、楽しかった。
だから、私は学校でも一人きりでいることが多く、親友と呼べるような友達の一人さえもいなかった。
だけど、それを悲しいとか寂しいと思うことは露ほどもなかったし、むしろ他人に邪魔をされることなく読書に没頭できることが嬉しくもあった。
子供の頃からそんな生活を続けている私は、他人との付き合いが苦手だった。
いや、もともと他人と接することが苦手だからこそ、私は現実の世界から逃げ出し、本の中の世界に自分の居場所を確保しようとしていたのかもしれない。
どちらにしても、私には社会適合性というものが完全に欠落していた。
初めから備わっていなかったのか、あるいは成長する過程で私自身がそれを置き去りにしてきたのかはわからないが、少なくとも社会適合性を持ち合わせていない私が社会に出て働くことができるはずもなく、大学を卒業した私は実家でただ毎日ゴロゴロと怠惰な生活を送り続けている。
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