ゴミ箱を漁る作家の苦悩

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引きこもり生活二年目からは徐々に外出も始めた。 今日のように電気街に行き、ゲームや漫画、アニメなどを買い漁る外出が主だ。 三宅は変に勉強ばかりをした弊害なのかやけにインテリぶるきらいがあり、更には学歴コンプレックスが強い。 気になった小説などを手に取ると、あらすじの書かれた裏面より作者のプロフィールが書かれたページに先に目を通す。 その作者が東大や京大卒なら悔しさと諦めがない交ぜになった気分になり、自分が受験した大学より偏差値が低い大学なら苛立ちと軽蔑がない交ぜになった気分になった。 それというのも彼は今、小説家になることを夢見ていたからであった。 雲を掴むような大それた無謀な夢ではあるが、何もかもを諦めた引きこもりからはかなりの進歩と言えた。 彼の目指す小説のジャンルはアニメの原作などになりやすいライトノベルという類いのものである。
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