ゴミ箱を漁る作家の苦悩

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メイドのすみれは取り分けて美人ではない。 出迎えをしてくれた『くるみ』はメイド長というリーダー的存在で、典型的な美少女であるが、それに対し『すみれ』は実に地味なタイプであった。 目元は一重で腫れぼったい感じだし、鼻もなだらかな線であまり高くもない。 唇も薄く、やや幸薄げにも見える平淡な、印象に残らない顔立ちである。 しかし女性に免疫のない三宅にしてみればこういった女性の色香を出さないすみれのような女の方が気後れもせず、親しみやすかった。 このメイド喫茶「がーでぃあん」は近隣のメイド喫茶同様、ガールズバーで働く方が似合っているような派手なギャル系のメイドが多い。 その中ですみれは慎ましい、素朴な感じのメイドらしいメイドだと三宅は感じていた。 すみれの方も三宅には積極的に話しかけてくれ、趣味も合う。 趣味が合うというのが何よりも打ち解けやすい。 こういったタイプの人間は趣味や価値観があうことを大切に考える帰来がある。 そのためすみれの方も趣味の合う自分を憎からず思ってくれているのでは、などと三宅はのぼせ上がっていた。
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