ゴミ箱を漁る作家の苦悩

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家に帰った三宅は一直線に自室に入る。 少し帰りが遅れたが父はまだ帰宅していない様子でほっと安心する。 三宅は大学受験を二度失敗し、三年目の浪人生活に入ってから予備校にも行かず部屋に閉じ籠った。 一人っ子の彼は両親の期待を一身に背負い、二度の受験失敗で親を落胆させた。 父は三宅を詰ったが母は来年こそはと励ました。 たかが二度の大学受験失敗くらいで、人は人生を棒に振るわけではないが絶望しきった彼は人生の終わりと感じ、引きこもり生活に突入した。 それ以来父とは口を利いていない。 しかし母は食事の世話などをはじめとして三宅の世話を焼き続けた。 引きこもっても世話を焼いてくれる母の愛情を確認するかのように、三宅は母を怒鳴り散らし、わがままを貫いた。 当然バイトすらしない三宅に母は毎月の小遣いまでくれた。
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