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海辺に咲いた桜は非常に珍しい。
私は、美しく咲き誇る桜に見惚れていました。
何故、海岸からこんなにも近い場所に桜を植えたのでしょうか。
私の視界の先には、海岸をなぞる様に咲いた桜の木が続いています。
その左には白銀に輝くかの如く、汚れを知らない綺麗な砂浜。
砂浜に打ち寄せる波の向こうには、透き通るような青い海が広がっています。
見上げれば、青い空と疎らに浮かぶ白い雲。
美しい。あまりにも美しい。
私は羽織の袖を捲り、意味もなく砂を救ってみました。
小さく吹く風が、さらさらと掌に乗った砂を流していく。
この景色に足りないものを挙げるとするならば、水着を着用した美しい女性ですかね。
こんなにも暖かい陽射しが照りつける日には、お昼寝でもしながら、馬のレースをラジオで聞くってのが決まりです。
「そうもいかないですけどね」
だってここはクエストの中。
副長から命令され、ここまで来ましたが……。
私は辺りを見渡した。
私、浦島太郎とか知らないんですよね。
どんなお話なんですか。
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