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「そ、そうなのですか……」
あまりに意外な展開です。
こ、この亀は悪なのですか?
さらに別の子供が、私に睨みをきかせながら話しかけてきます。
「そうだ!こいつは村の人間を何人も殺したんだ!だから、こいつをやっつけに来た!誰だか知らないけど邪魔するな!」
こ、これは判断が難しい。
人を誘拐して殺す亀?
もし本当だとすれば、子供達がしている行為は正しいことだ。
子供達は私から亀へ視線を戻して、再び甲羅を蹴り飛ばし始める。
どうしましょうか。亀は蹴り飛ばされてはいるが、微動にせずその場で踞っています。
その時、これまで甲羅の中へ隠れていた亀がからひょっこりと顔を出して私を見てきました。
「わ、私は何もしておらぬ」
初老を感じさせる亀の顔は傷だらけになり、瞳には大粒の涙を浮かべていた。
その瞳から感じるのは、純粋な恐怖と胸を熱くさせるような切なさ。
「わ、私は村の人間など殺しておらぬのじゃ!助けてくださいまし!」
顔を出したことを良いことに、一人の子供が亀の頭部を目掛けて蹴ろうとしていた。
「や、やめなさい!」
能力……。
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