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子供達は何度も振り返りながら、私の動きを警戒するように遠く離れていきます。
「これでよかったのか……?」
何かを間違えてしまったら即刻やり直しとなってしまうクエストは、些細なミスが致命的となります。
どうやら大丈夫みたいですが……。
感情的になってはいけませんね。
だだっ広い砂浜に取り残された私と亀。
私は、未だに砂浜でうつ伏せになっている亀に視線を落としました。
「大丈夫ですか?」
亀は、甲羅からひょっこりと顔を出して言います。
「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」
長い首を揺らし、何度もお礼を言いながら頭を下げる亀。
「大丈夫ですよ。悪いことをしたのは子供達ですから」
亀は申し訳なさそうな顔をして、私を見上げながらこう言いました。
「良かったらお礼をしたいので竜宮城までいらっしゃいませんか?」
「竜宮城?」
「はい。海の中に私の家がありまして。私達の女王である乙姫様も、お客様が来るとなれば大層喜んでくれるはずです」
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