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う、海の中ですか?
砂浜の先に広がる、透き通るような水で作られた大海原。
延々を感じさせる水平線。太陽の光に当てられて水がきらきらと輝いています。
「あの中に貴方の住まいが……?」
これは予想外というべきでしょうか。
水の中なら息が出来ないのは確実。
間違いなく死にますよね。
初老を感じさせる亀は、優しい口調で私の質問に答える。
「はい。海の中ですが、私の住まいは空気がありますので心配なさらないでください。私の背中に乗って辿り着くまで息を我慢していただくことにはなりますが……」
「ちなみに辿り着くまでにどれくらいの時間がかかるのですか?」
「約45秒ほどでございます」
それくらいなら余裕ですね。
亀はしわくちゃな顔で、満面の笑みを浮かべながらさらにこう言った。
「竜宮城では沢山のご馳走と踊り子を用意して、お礼をさせていただきます。いかがでしょうか?私のせめてものお礼です」
沢山のご馳走、踊り子。
悪くないですね。
むしろ、大歓迎です。
踊り子ですか。
私は美しい人魚が音に合わせて、優雅に踊っている姿を頭に思い浮かべた。
「亀さん。早速、行きましょうか」
あれ?目的って何でしたっけ?
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