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打ち寄せる波打ち際。
私は亀さんの背中に乗せてもらい、海へ入る準備を整えました。
「良いと言うまでは息を止めていてくださいませ」
亀さんの指示に対して、私は大きく頷きました。
返事をするとほぼ同時に、亀さんは前足と後ろ足を使って勢いよく地を蹴ります。
「ちょっ!」
その勢いのよさは、私の予想を遥かに凌駕してました。
まるでロデオに乗るが如く、激しいスタート。
私は、慌てて亀さんの甲羅を手の平いっぱいに握り締めました。
水面を爆破させるような飛び込み。
海の水が肌を冷やす。
周りの音が遮断され、水の世界が私を包み込んだ。
「ガボガボボボ……」
あまりの勢いのよさに、息を止めることを忘れてしまった私。
水が勢いよく、体の中へ侵入してくる。
45秒。これはやばい。
持たないかもしれません。
冗談とかではなく、本当にブラックアウトするかもしれないです。
凄まじい水圧。
亀さんはジェット機のように海の中を進ます。
掻き分ける水の音。
「ガボガボガボガボガボガボ」
(亀さん。まずいです。助けて)
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