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「もう少しで到着します」
私の焦りとは真逆に、亀さんの穏やかな口調が水を通して耳に届いてくる。
押し潰されそうな水圧。
このままでは地球の裏側に行ってしまうのではないかと思うほど、亀さんは深く凄まじい速さで進んでいきます。
深くなるにつれて、段々と辺りが暗くなりました。
太陽の光を遮るほどの深海。
「ガボッガボッガボッガボッ!」
やがて、意識が遠退きそうになった時。
一筋の明かりが差し込んだかと思えば、辺りが急に輝き始める。
も、もう駄目だ。まさか、こんなところで私が……。
「もう大丈夫ですよ」
諦めかけた時、途端に勢いが無くなり、優しい浮遊感が全身に広がる。
「着きました」
直後、小さな振動。
亀さんが、柔らかい砂の上に降り立ったところでした。
「ここが竜宮城です」
私の目の前には、石で築かれた巨大な城が構えていた。
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