天草四郎物語

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『そう。浦島太郎クエストに隠された情報とは、ブラックアウト三大兵器のうちの一つ……』 とか言ってた様な気がします。 よく考えると、DIMによる電話だったから、あまりちゃんと聞いてませんでした。 私が考え込んでいる間にも、周りで魚達がせっせと準備を行っています。 次々に運ばれてくる豪華な料理は、ホール全体を埋め尽くしそうなほどの量。 いくら何でもこんなに食べられませんよ。 慌ただしく魚達が物を運びながら泳ぐ中、中央に設置された大きな階段に人影が現れます。 魚の形ではなく、明らかに人の形をした影。 その人物の姿は、すぐにはっきりと見えるようになりました。 裾が、床に引きずるほど長く伸びた輝く桃色の着物。 首からかけた透き通った羽衣は、天女を思わせます。 円らな丸い瞳、さっき見た美しい白い砂浜より綺麗な肌。 整えた髪は、さらさらと流れる。 あ、あれが。まさか……。 その人物は、真っ直ぐ私の元へ近寄ってきた。 「こんにちは。私が乙姫でございます」
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