天草四郎物語

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「どういうことですか!ちゃんと説明してください!」 この拘束具は命力を封じ込めるもの? 否。それは嘘。あるいは認識を間違っています。 私はそれにすぐ気が付きました。 おそらく命力を放出することを防ぐ道具なのでしょう。 能力を発動させる際に、命力の使い方は二種類に分けられます。 一つ目が、体の中から外に放出させるもの。 二つ目は、体内に留めながら使用するものです。 例えば、爆発系の能力を使用する際には、一般的に体の中で溜めた命力を外に放出して爆発を引き起こします。 そうすれば、拘束具は破壊できるでしょう。 乙姫さんの能力も同様に、外に命力を放出させて竜宮城を包み込むほどの一定の範囲内で構成されています。 しかし、この拘束具は、体の中で能力を発動させるものは使えるんです。 私はどんな時も、常に能力を発動させていますからね。 現在もそれは問題なく起動しています。 乙姫さんは冷たい口調で私に返事をした。 「天草様。説明する必要はありません。貴方はこれから生け贄になるだけなのですから」 乙姫さんが言い終わると同時に、足元に小さな振動が響き始める。 それは揺れはたちまち大きくなり始めました。 ここから百メートル先ほど。 立ち並ぶ柱の向こう側の何もない広い空間で、地の中から何かが姿を現し始める。 は、はめられた!
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