天草四郎物語

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背中から生えた管の先に現れたのは、ハサミ、コンパス、分度器、カッターナイフ、ホッチキス、消しゴム、接着剤と書かれた容器。 それぞれ、全てが私の体とほぼ同じサイズです。 一つの能力と見せかけていますが、実はこれらは全て別々の能力で構成されています。 つまり、七つの能力を同時に出して、一つにまとめているのです。 こんな事が成立するのは勿論、能力の相性もあるが、全てが同系種というバランスが取れていることもあるんですよ。 この能力は、私の身動きを奪う。 七つの能力を操る代わりに、私はその場から一歩も動けなくなってしまうのです。 フライシューズで滞空することは可能ですが、自由に飛び回ることが出来ません。 簡単に説明すると、この背中から生えた管が私の手足となるのです。 だから自分の手足は全く動きません。 そして、命力の消費量は、通常がストローで水を吸うほどだとしたならば、これはコップから水を溢すように激しく消耗します。 何て、不便な能力でしょう。 でも、私の中ではとても楽しめる能力なんですよ。 体勢を立て直そうとしたカニさん。 私は、背中から生えた管の先に実る“ハサミ”を動かした。 さらに便利なのは……。 ハサミは一瞬にして、何十倍もの大きさに変化した。 作り出している物なので、使用する命力の量さえ調整すれば自由に大きさは変えられるのです。
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