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命力を使いすぎたせいか、瞬間移動で浜まで帰るのは少し辛いですからね。
それに、私、亀さんの背中の上に乗った時は意外と楽しかったですし。
「帰ったら、このクエストから出られるか調べてみます。お二人が出れるように」
「ありがとうございます……」
乙姫さんと亀さんは瞳に涙を浮かべる。
クエストに閉じ込められた者達を解放する方法。
これさえわかれば、だいぶ前に進んだ気がします。
「少し時間はかかるかもしれませをが、また遊びに来ますよ。その時は、またご馳走を振る舞ってください。でも、自分達の仲間を食材に使うのだけはやめてくださいね」
その言葉に、乙姫さんと亀さんは苦笑いを浮かべた。
あれ? おかしなことを言いましたかね?
私は帰る支度を整え、竜宮城の入口まで来た。
既に亀さんは、私が背中に乗るのを待っています。
「天草様……」
帰り際、見送りに来た乙姫さんの手には小さな黒い箱が持たれていた。
「これを……」
差し出された黒い箱。
私は手を出すと、乙姫さんはその上に優しく箱を置きました。
「これは?」
私の質問に乙姫さんはにこりとして答える。
「竜宮城から帰る時にお土産として渡すたまて箱です」
たまて箱?
も、もしかしてこれは副長が言っていたタバコ箱のことですか?
副長。覚え間違えています。
正確には、たまて箱でした。
たまてとタバコを間違えるなんて、副長も随分とマヌケな部分があるんですね。
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