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その言葉が、全身に響き渡る。
私は無意識に呟いてました。
「生きたい……」
生きて、もう一度だけ自由に動きたい。
目が見えなくとも、私には周りの全てがわかるようにあらゆる物が鮮明だった。
彼は小さく鼻で笑います。
私のすぐ側で、私を見下ろす男。
どこからか、一粒の暖かい液体が顔に零れてきました。
雨が降り出すのを悟った時のように、たった一粒。
でも、暖かい。
見下ろしている男は言いました。
「行け。新撰組とのチーム登録を外してやった。どうせ、もう目が見えないんだ。殺さなくても、貴方はこの世界じゃ生きていけない」
彼は私に、ほんの僅かな命力を分け与えてくれます。
こんな事が出来るのか。
それは、瞬間移動が一回出来るほどの量。
能力に使用する命力の分量を見極めるなんて、長く一緒にいないと、なかなかわかりません。
「もう行っていいです。さようなら。天草さん」
彼は泣いていた。
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