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「起きないな・・・・」 時刻は7時半。 そろそろ起きないと遅刻になる。 「和久井?起きろ。」 返事がない。 余程疲れていたのだろう。 (寝かせておくか・・・・) ふとした拍子にドアノブに手が触れた。 「・・・・開いてる?」 鍵を掛け忘れるくらい疲れているなんて・・・・ 部屋に入り、和久井のベッドに近付く。 「おい、起きろ。」 「んっ・・・・」 肩を揺すってみるが、起きる気配がない。 (それにしても・・・・) 本当に細い。 背は薫と同じくらいに見えるが、薫よりも軽いだろう。 全体的に色も白いし、疲れのせいだろうか、顔色は青白くみえる。 「ったく。どんな生活してんだよ・・・・おーい、和久井。」 「・・・ごめん・・・なさい・・・・」 「えっ?」 「お母さん・・・ごめんなさい・・・」 「寝言か・・・・」 と、その時・・・・ 眠っている和久井の目元から、涙がこぼれ落ちた。 「おいっ!!起きろ!!」 「・・・ぅん・・・あれ・・・柏木・・・くん・・・・?」 「おはよう。」 「おはよう・・・・ございます。」 俺は、和久井の目元をそっと拭った。 「あの・・・・?」 「何でもない。メシ食えるか?」 「あっ、はい。・・・・どうしてここに?」 「鍵が開いていたんでな。悪いとは思ったが、起こさないと遅刻しそうだった。悪かったな、勝手に入って。」 「いえ、ありがとうございます。・・・あの・・・僕、何か言っていませんでしたか?」 「別に何も言ってなかったぞ。」 「そう・・・・ですか。」 俺の答えに、和久井はホッとした表情を見せた。 さっきの事は言わない方が良いだろう。 和久井が話してくれるまで待つべきだと思った。 「ほら、顔洗ってこい。メシはできてるぞ。」 重たい空気になりそうだったのでいつもより少しだけ明るめの声で言い、和久井の頭を撫でた。 「はい。」 「ん。先にリビング行ってる。」 その後、一緒に朝食を食べながらたわいもない話しをした。 和久井も少し話してくれて、ホッとしている自分がいる事に少し驚きながら・・・・
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