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「・・・・そう言えば、授業は出れそうか?」
体調が悪ければ休ませようと思い聞いてみた。
「はい、大丈夫です。スミマセン、ご迷惑をおかけして・・・」
「・・・・迷惑とは思っていない。ただ、心配なだけだ。」
「・・・・」
またこの表情・・・・どうして自分の事をとか考えているんだろう。
「心配ぐらいするさ。」
俺は和久井を安心させるように笑って見せた。
「ッ///・・・・ありがとう・・・ございます・・・」
「おう。」
(キャラじゃないな、俺・・・・)
どうにも、和久井といるといつもと違う自分が出てくる気がする。
「あの・・・・」
俺が自分の事を考え込んでしまっていると、和久井が怖ず怖ずと声を掛けてきた。
「ん?どうした?」
「週末・・・・なんですけど・・・・僕、行く所があって・・・・外泊します・・・・」
自分の事を話してくれるなんて。
これも進歩した証拠だろう。
「分かった。何時頃出るんだ?」
「今日・・・・授業が終わったらすぐに出ます・・・・」
「そうか。何かあればすぐ電話しろよ。いつでも出るから。」
「・・・・はい。ありがとうございます。」
いつもより目線を上げてそう言った和久井の顔は、いつもの無表情ではなく、柔らかい笑顔だった。
「・・・・・・」
初めて見た和久井の笑顔・・・・
思わず息を飲んだ。
あまりにも綺麗だと思ったから・・・・・・
「柏木くん?」
「あっ?あぁ、悪い。」
次の瞬間にはいつもの和久井に戻っていた。
「行こうか。」
「はい。」
・・・・話してもらえてホッとしたとか、笑顔が見れて嬉しいとか、そんな自分に戸惑いながらも、どうにか平常心を保ち部屋を出た。
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