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桜の花びらの舞う中を、俺はゆっくりと歩いていた。 春の暖かい日差しが心地好く、こんな日も悪くないな・・・・なんて柄にもなく思っていると、背中に少し早い朝に似つかわしくない大声と、ズシリと重たいモノが覆いかぶさってきた。 「悠弥~!!おはよっ!!」 「・・・・重たいぞ、飛鳥。」 「相変わらず飛鳥はウザいよね。おはよ、悠弥。」 「おはよう、薫。で、飛鳥は早くどけ。」 「そうだよ。飛鳥の方がおっきいんだから、悠弥が可哀相だよ。」 「薫・・・・それは言わなくて良いから。」 「俺の方が2センチもでかいもんなっ。」 「・・・・」 得意気に言う飛鳥に、少しイラッとくる。 「良いじゃん、2センチぐらい。僕なんか15センチも違うんだよ?」 「薫はちっさいもんなぁ。まっ、可愛くて良いんじゃね?」 「飛鳥に言われても、全く嬉しくないし。」 「つれないなぁ、薫ちゃん。」 「・・・・」 日課のようになっている飛鳥と薫の口喧嘩に苦笑いを零し、俺は学校へと続く坂道を進み始めた。 「・・・・・・中学生?」 坂を上がった所にある一際大きな桜の木。 その下に、この辺りでは見掛けない制服を見付けた。 見た感じ、背格好は薫と同じくらいだろうか。 前髪が長く顔はよく見えない。 急に止まった俺を不思議に思った2人が、俺の見ている方へ視線を向ける。 「あっ!!外部生かも。」 飛鳥が思い付いたように言う。 「外部生?」 「うん。確か、今年は何年か振りに入ってくるって親父と兄貴が話してた。」 「理事長と生徒会長の話しなら本当の事だね。」 「・・・・俺の話しは本当じゃないって言われてる気が・・・・」 「おバカな飛鳥の話しなんて、信じれる訳ないでしょ。」 「なっ!?」 (また始まった・・・・) そんな2人に背を向け、俺は再び足を進め始めた。
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