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俺が今日から通う『桜ノ宮学園』は、所謂エスカレーター式と言う学校で、高等部からの外部生はかなり珍しい。
県下でも上位に入る学力と、やたらと高い学費。
そのせいか、この学園の生徒はほとんどが金持ちのボンボン。
俺の親父は名前を見ない日はないと言うぐらいの会社の社長だし、飛鳥の親父さんはこの学園の理事長。
薫の親父さんは有名ブランドのデザイナーだ。
そんな所に入るとなると、相当金があるか、余程勉強ができるか・・・・
「ねぇねぇ!!そこの君!!!!」
その時、俺の思考を遮るかのように飛鳥の大きな声が響いた。
「おい、余計な事するなよ。」
「えー友達になろうよ~!!」
「バカかお前は・・・・」
今度は俺と飛鳥の口喧嘩が始まるかって時に、薫が静かに口を開いた。
「もう行っちゃったよ。」
「えっ!?そんなぁ・・・・」
「どうでも良いだろ・・・・」
本気で落胆する飛鳥にため息が出る。
コイツは誰とでもすぐに友達になれるらしい。
「だって、ちょっと変わった奴だって父さんが言っててさ。何か色々あるみたい。気になるだろ、そんな奴。」
「そんな奴なら尚更ゴメンだ。」
「・・・・そうも言ってられないんじゃない、悠弥は。」
「は?何で?」
「外部生って事は、お金があるか勉強ができるかどっちかでしょ?制服が間に合ってないって事はお金持ちって線はちょっと薄いと思うんだ。だとすれば、相当頭が良いって事になる。寮の部屋割は?」
「・・・あっ・・・」
この学園は、自立の為と言う理由で高等部からは寮生活になる。
2人部屋で、入試の順位で部屋割が決められる。
ちなみにクラスもだ。
本来なら入学式当日まで分からないが、飛鳥の兄さん、生徒会長の大翔さんが俺達3人が上位独占だったと教えてくれた。
「・・・・同じ部屋かもって事か。」
外部生で入試を受かったアイツは俺より良い点を取ってるかもしれないと言う事。
「そう言う事だね。」
薫は何か楽しそうだ。
「先が思いやられるな・・・・」
俺は落ちた気分で、クラス発表をしている校庭へ入って行った。
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