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俺達が掲示板へ近付くと、ザワザワとしていたその場が急にシンとなった。
「飛鳥、何かしたか?」
「何かって?」
「・・・・急に静かになった様な気がするんだが?」
「悠弥のせいかも。」
「あ?何で俺なんだよ。」
「(全然分かってないんだから・・・・)ま、気にしないで。」
「何だよ・・・・」
「おーい!!早く行こうぜ~!!」
「さっ。飛鳥がうるさいから僕達も行こ。」
「おいっ、薫!!・・・・ったく。」
薫は時々、遠くを見据える様な目をしておかしな事を言う。
俺には、何の事かよく分からない時が多いが・・・・
俺は首を傾げながら2人の後を追った。
× × ×
「おはよ~!!!!」
相変わらず空気の読めない飛鳥がやたらとデカイ声で挨拶をする。
一瞬、この場に誰もいなくなったんじゃないかと思えるぐらいの静寂が訪れた。
だが、次の瞬間、地鳴りが起こりそうなぐらい騒がしくなった。
各々が喋っているので、何を言っているかは分からない。
ただ、こっちを見て何か言っている気が・・・・
(チッ、相変わらず胸糞悪いな・・・・)
中等部の時もそうだったが、俺達を見てコソコソ話す奴らをよく見掛けた。
面倒に巻き込まれるのは嫌だったし、薫に止められていたので相手にしていなかったが・・・・
(また3年間続くのか・・・・)
周りを無視して席へ着こうとした時、周りの騒がしさを気にすることなく黙々と本を読んでいる奴が目に入った。
「あの制服・・・・」
「あーっ!!さっきの!!」
俺の呟きに反応した飛鳥が、また大声で叫ぶ。
「同じクラスだなぁ!!俺ね、佐伯飛鳥って言うの。こっちが柏木悠弥、こっちが西澤薫。よろしくなっ!!」
俺と薫を無視して、勝手に自己紹介をする飛鳥。
「・・・和久井・・・春日」
奴、和久井は飛鳥を一瞥して、自分の名前だけボソリと言い、また本に視線を戻した。
相手にしていないが、能天気な飛鳥には全く通じる訳もなく・・・・
「和久井春日・・・・ハルヒ・・・・ハルちゃんだっ!!」
勝手にあだ名までつけて、和久井の肩をバシバシ叩く。
和久井は心底嫌そうな、ウンザリしたような顔をしている。
しかし、長い前髪の隙間から一瞬見えたその目は・・・・
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