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「片付いたらそっち行くわ。」
部屋の前で2人と別れ、ドアを開ける。
和久井は、もう自室へ入ったらしい。
2人1部屋とは言え、各々の部屋には鍵もついている。
共同で使うのはキッチン・バスルーム・トイレとそれらに付随する物・・・・家電製品は殆どだ。
自分の事はできるだけやるつもりでいるので、和久井次第で顔を合わせる事が多くなりそうだった。
「さてと、これからどうなるか・・・・」
先の事に頭を悩ませながら片付けを始める。
しばらくすると、不意にチャイムの音が聞こえた。
「・・・・誰だ、こんな時間に・・・・はい?」
不信に思いながらもドアの前へ行く。
「おっ、その声は悠弥か!?俺だよ俺っ!!」
「・・・・オレオレ詐欺じゃないんだからね、貴志さん・・・・」
ドアを開けると、大翔さんの親友の結城貴志さんが立っていた。
俺達も、小さい頃からお世話になっている人だ。
「久しぶりだなぁ。でも、今日は悠弥じゃなくて和久井に用があるんだ。」
「何で貴志さんが?」
「ん?俺、寮長だから。」
確かに面倒見も良く、しっかりしていると思う。
「やっぱりって感じですね。」
「へへっ。ありがと。邪魔するよー。」
「どうぞ。あっ、和久井の部屋は左です。・・・・・・何でしょう?」
自室に戻ろうとした俺の腕を、貴志さんはしっかり掴んでいた。
「悠弥もそこにいて。で、あの2人も呼んで。」
「2人・・・・薫と飛鳥ですか?」
「うん。」
「・・・・・・」
貴志さんが何を考えているかは分からない。
ただ何の考えもなしに発言をするような人でもない。
「分かりました。」
俺は、2人を呼ぶために携帯を出す。
「よろしくね~。」
貴志さんは、俺に手を振りながら和久井の部屋へ向かった。
「相変わらずだな・・・・おぉ。飛鳥連れて俺の部屋来い。貴志さんが呼んでんだよ。あぁ、じゃあ。」
携帯を切ってソファーに腰を下ろした。
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