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いかにも、良いこと言ったみたいなポーズで固まる後輩に、質問を投げかける。
「で……?、具体的にはどうするんだ」
「そうですね。とりあえず………」
―――Lesson1―――
『予想外の客』
「予想外……ねえ。んー、例えばコンビニ強盗が押し入って来るとか?」
「甘いっっっ!なんなんですかそれは!!その程度で予想外を名乗らないで下さい!!!」
「はあ」
「いいですか先輩。コンビニにコンビニ強盗が来るなんて、ある意味予定通りじゃないですか。どうせならこうです!」
妄想開始―――
(あ、先輩。ちなみにこの妄想は先輩が一人で、深夜コンビニで働いてるときに、客が来たっていうシチュエーションで思いえがいて下さい)
(なんかコントぽいな)
ウィーン(自動ドアが開く音)
「いらっしゃいませ……ヒィッ!?」
息を切らせて店内に、入ってきたのは、全身黒づくめで、目出し帽を被り、包丁を片手に持っている、どーみても怪しいとしか言いようの無い男だった。
「ご、強盗……?」
「そうだ。オレは強盗だ」
(強盗じゃん)
(まあまあ、予想外はまだこれからですよ)
「こ、こんなボロいコンビニですから大して売り上げ無いですよ」
「何を勘違いしてるんだ、オレは銀行強盗だ!」
「は?」
「これから、駅前の銀行に強盗しにいくところだったんだが、なんか緊張して腹が痛くなってきた。トイレを貸してくれ」
「ええー」
「は、早くトイレの場所を教えろ!ぶっ殺すぞ!!―――てゆーか、教えて下さい!お願いします!!」
(ナニコレ?)
(ね?予想外でしょ)
「あー、すみません。いまちょうど清掃中だったんですけど、トイレットペーパー切れちゃってて、替えを探してたとこだったんですよ……おかしいなあ、どこにあるんだろ」
(これでどうだ!)
(え?ちょ、ちょっと!先輩が予想外の展開作るんですか!?)
(さあ、どう切り返す!?)
(うーん……)
強盗は、包丁を突き付け、とても強盗らしいセリフで脅した。
「か、カミを出せ!!!」
惜しい。一字違う。
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