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俺は店内を見渡した。
客など居ない。全く。
というか、ここ2時間くらいは、俺達以外誰も店内に出入りしてない。
大丈夫か?このコンビニ。
「俺の目がおかしくなってなければ、お客さんが居ないように見えるし、多分待ってても、ほとんど来ないと思う」
「やだなあ、先輩。そんなまわりくどい言い方しなくても、わかってますよ」
「お前が言うな」
「最近になって、深夜のシフトに入るようになった先輩はまだ知らないかもしれませんが、実は、いつもこのくらいの時間に、隣に住んでる爺さんが、このコンビニの駐車場の所まで出てきて、ラジオ体操するんですよ」
「その爺さんに、あだ名を付けようってか」
「その通りです、先輩」
「けどラジオ体操するには、あまりにも早すぎないか?ああいうのは普通、早朝にやるもんだろう」
ちなみに現在、間もなく深夜2時に、差し掛かろうかという所。
「ええとですね、なんでもその爺さんも、以前は早朝――5時過ぎくらいに、体操してたそうなんですよ。それが、ボケてきたからなのかなんなのか、起きるのが段々早くなってきて、現在は、2時くらいまでになってしまったそうです」
「いくらなんでも早くなりすぎだろ!家族も止めろよ!!」
「それがですねー、毎日毎日、ほんの何秒かずつ、前倒しになっていったので、家族が気付いたときには現在のような状況で、止めるタイミングを逃したそうです」
「武勇伝かよ……」
でんでんででんでん。
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