進化論(1)

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今日はクリスマスイブ。 道路には雪が積もり、四枚は重ね着しないと厳しい寒さだと言うのに、ここ、M県I市のK幼稚園の園児達は元気いっぱいにはしゃいでいた。 お遊戯室に園児が全員集まって、イブの催しをしている最中だったのだ。 女の先生と男の先生が、手作り感プンプンのサンタの衣装を着て、園児達と戯れている。 「ねぇねぇサンタさん、仮面タイラーの変身ベルトちょうだい!」 目をキラキラさせた男の子がサンタ衣装の男の先生に言うと、サンタは笑顔で 「フォフォフォ、良い子の坊やにはこれをあげよう」 と言って、キャベツ太郎を一つ袋から出して渡してくれた。 男の子は一瞬無表情になったが、直ぐに満面の笑みになり 「ありがとうせ・・・サンタさん!」 と言って、嬉しそうに室内を駆け回った。 「いーでしょー」 と、他の子達に自慢して回っている。 それに嫉妬した子供達が、口々に不満からサンタさんにすがる。 「あーずるいよ健次君、せ・・・サンタさーん僕にもプレゼントちょうだいー」 「私にも私にもー」 園児達が、二人のサンタの元にわらわらと集まってくる。 園児達に四方を囲まれて困ったサンタさん達は、それでもどこか楽しそうに笑い 「はーい皆仲良く並んでね、順番にプレゼントを配るよー」
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