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「もう用はない、か」
ポエムが犲橋をおりたつころ、港を見おろす断崖の上に築かれたクロコップの海軍基地では、大尉から総督へと昇進したオーガのために祝いの式典が催されていた。
式典には、名のある騎士のラゲッティと、二十歳になる娘のルーシィも参列していた。
じりじりと照りつけるリリアルオーブの光と胸にしめつけるドレスのせいで、ルーシィは目眩を感じ、ぐらっとよろめいた。
その拍子に、見晴らし台の手すりを越えて崖下の海に転落してしまった。
ヴィーナスがルーシィにプロポーズした矢先のできごとだった。
崖の下にはテイア・マクティリオンがいた。
テイアはすばやく海にとびこみ、ルーシィを救いにいく。
だが、広い海の波がテイアを襲い、うまく救出することができない。
「誰か…」
必死に助けを求めるルーシィだが、天候は雨だったため、差しのべるテイアの手に、うまく掴めないでいた。
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