革命の次の日《早朝》

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「着いたぞ。降りろ。」 武装した男が馬車に乗る女の腕を乱暴に引っ張った。女は勢いで倒れこんだ。 「雫様!!」 次に降りた幼い少女が急いで女のもとへ駆け寄る。 「大丈夫ですよ。雨流(アマル)。」 女は優しく微笑み、膝に付着した砂を払いながら立ち上がった。 女は美しい着物を身に纏い、全ての仕草や動作は気品に溢れ、武装した男達の中に居ることが明らかに不自然だ。 「こっちだ。歩け。」 その歩く姿も上品で美しく、周囲の武装した男達は暫し目を奪われる。 「さ、さっさと歩け!」 「口の聞き方には気を付けろ。」 先導する男が急かすように言うと、一人の男がそれを制止した。 「郁斗さん!し、しかしこの女はっ…」 郁斗と呼ばれた男は、女の前で片膝を立てて跪いた。 「い、郁斗さん!」
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