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「雨流……貴女をこのような目に遭わせてしまい、大変申し訳なく思っています。」
「とんでもないです!雨流は自ら雫様のお側に居ることを望んだのであります。ホンノウでございます!」
雨流は雫付きの侍女の一人だった。
「………雨流?“本望”…と、捉えても宜しいですか?」
雫に間違いを指摘された雨流は、はにかんだ。
つい先日、第一集にて一部の華王家、阿武家、多くの従民達により革命運動としての暴動が起こった。
対抗勢力は僅かばかりで、殆どの華王家や阿武家の者は戦おうともせず、第三集や、多くは第二集に逃げ込んだ。その結果、革命は成就。その力は第二集にまで飛び火した。
阿魏国は王の住まう中央区、王家がそれぞれ取り仕切る第一集、第二集、第三集と分かれ、第二集は特に軍事力が乏しかった。それは楽で贅沢な生活に慣れすぎた貴族達の怠慢の積み重ねの結果でもある。
革命軍は軍事力の高い第三集よりも先に、第二集を解放する為に動いた。
二条院雫は第二集が戦火に巻き込まれるのを避けるために自らその身を差し出した。第二集には攻め入らないことを条件に。
「雫様……これから……どうなるのでしょうか…」
「………安心なさい。貴女は何があっても私が守ります。」
「そんなっ……雨流もでございます!雨流が雫様をお守り致します!」
「……有難う。雨流。」
雫は少し笑みを零し、優しく雨流の頭を撫でた。
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