日本の刃

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〈ワイバーン部隊〉 ゴランド王国軍に所属している飛竜軍団第七ワイバーン部隊所属のグレイス・シュタイトは前方にある日本の建物を睨み付けていた。 「あれが…日本の城か?あんなちっぽけな出城でゴランド王国を倒そうなどと…笑わせてくれるわね!」 彼女が所属している部隊は王国の中でも群を抜いて精強であり、さらに高級騎士のみが配備されているいわゆるエリート部隊である。そのため全員がそろってプライドが高く、この出撃も総大将の制止を振り切って出撃している。 「ニホンの連中の首は私が全部狩るわ!」 彼女らは狂気に染まった顔で突撃していった。 〈第一高射中隊〉 「目標、依然として接近中!」 中隊長である小林三成(こばやしみつなり)一等陸尉はレーダー員の報告を聞きながら部隊に指示を出した。 「一四式対空誘導弾、撃ち方よーい!」 「撃ち方よーい!」 「撃ち方、始め!」 73式中型トラックの荷台に装備された一四式対空誘導弾が白煙の尾を引きながら飛んでいった。 一四式対空誘導弾は日本とドイツ、イギリスが共同開発した対空誘導弾である。ちなみにドイツやイギリスでの名称はスカイジャベリンである。優秀な命中率を誇り、NATO諸国にも配備が進んでいる。 〈ワイバーン部隊〉 「行くぞ!総員、突撃ィィィ!」 「「「オオオォォォォ!」」」 しかしその時彼らの目前には白い尾を引きながら此方に向かって来る槍の様なものを見た。 「なんだア―――――」 そう言った瞬間ワイバーンと乗っていた隊長は爆炎に包まれた。 「隊ちょ――――――」 隊員達は次々と爆炎に包まれていく。 その中でも、グレイスだけは奇跡的に誘導弾の直撃を受けていなかった。しかし――― 「ひっひぃぃ!なんなのよアレ!王国の精鋭が蛮族なんかに!」 彼女は完全なパニック状態に陥っており、ワイバーンを操れていなかった。 「こんな、こんなことが―――」 彼女の目前にはあの“槍”が迫ってきていた。
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