日本の刃

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〈ゴランド軍本陣〉 ゴランド軍ニホン討伐団団長のアルケー・ヤークの顔は驚愕に染まっていた。 「な…何なのだアレは!?我が軍の兵が一瞬で吹き飛んだぞ!」 アルケーは部下の魔術士に怒鳴った。 「アレと同等の魔法はどのぐらい魔力を消費するのか!?」 「あ…あれは儀式魔法クラス以上の破壊力です…地上におけるどの魔術士でもアレは不可能です…」 アルケーはその報告を聞き、青ざめた。なぜなら自分の部下である魔術士たちは王国内でもトップクラスの実力を持っている。しかしそのトップクラス全員の顔が真っ青になっているからだ。 「…や、やむをえん。一時撤退だ。全軍を引かせて敵の襲撃に備えよ…」 そう言ったもののアルケーの顔色は悪く、言葉に覇気がなかった。そしてその2時間後、ゴランド軍は完全に撤退した。 〈塹壕〉 田中雄大率いる第三小隊は塹壕でゴランド軍の動向を探っていた。 「どうやら奴ら、今夜は仕掛けてこないみたいですね」 「そうとも限らねぇぞ?烈風が夜使えねぇって思ってるかもしれん。実際は使えるんだがな」 雄大と彩久が話しているところに石川綾瀬二士が歩いてきた。 「隊長、頼まれていた物を持ってきました」 「ああ、あんがとさん。そこに置いといてくれ」 「隊長、これは?」 「これは暗視ゴーグルと…ん?おい、カールの照明弾と榴弾は?」 カールとは無反動砲カールグスタフの愛称である。 「え?カールだけじゃないんですか?」 「いや俺弾も持ってこいったんだけど…」 「……あっ!すいません!忘れてました!すぐに持ってきます!」 「おいちょっ……」 雄大が呼び止めようとしたが、その時にはすでに綾瀬はいなくなっていた。 「……………………」 「………隊長……」 「…どうした………」 「…平和ですね、今は…」 「…………ああ…そうだな…」
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