ムギオ伝Ⅰ

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 そこでムギオは考えた。「よし、夢を追うぞ」カバンをむんずとひったくり、ポルシェ928のエンジンに火を入れて、アウトバーンを流れゆく。  そこへ飛び出す赤ズキン。「ねえ、あぶないじゃないの」悲鳴を上げてポルシェは止まり、ムギオは一言「りゅうぐう城は赤ズキンちゃんのなかですか?」「自分のカメさんに聞いて下さいな」一本とられたムギオだがすかさずバラの花束を赤ズキンの上に落として手を叩き、“アモーレ・アモーレ”、左手にのびる青山通りを三百キロでひた走る。  角の下着屋さんでソバを喰ったムギオは試着室で一騒動。「えーい、パンダさんのアップリケーは嫌いだ!」「お客さま、申し訳ございませんが当店では“象もの”は扱っておりません」「ではランラン・カンカンしかこの店にはないのか!」「伝説の“えれふぁんとパンツ”は………………………りゅうぐう城にしかございません」「てい、では払ったおぼえはないが金をかえせ!」  そこへ現れたのは麻原昇光。「坂本弁護士はわたしが誘拐したんだぞ、さあ、ヨ・ガ・を・教・え・て・や・る・!クンダリニーを上昇させろ!」ムギオの肛門からマシンガンが火を噴き、麻原は破れた服からのぞくガーターとパンテーをかくし「子供ができたらどうするの!」と叫んで走りさったのだ。「さあパーティーは終わりだぜベイベー。シーツをかたしてくれ」「まって、せめてその着けたままの下着はおいてって!」店の玄関を突きやぶって現れたポルシェがムギオの手前で止まろうとしたが勢いあまって店の奥まで吹き飛ばし、裏手でひっくり返ってしまった。  「今度………今度来た時、パンダさんシュミーズのお金は頭金だけおいてくよ。ああ、泣かないでエチエンヌ!」そしてムギオは空からふってわいたキントウンに乗って三蔵の跡を追ったのだった。 .
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