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「愛してるよ、タマ♪」
そう囁いて、宮田の顔が更に近づいて来る。
「止めろ変態!!」
俺は宮田を力強く両手で押し上げた。
「タマ………」
切なそうな表情を浮かべる宮田。
俺は上体を起こし、少し宮田と距離を取った。
「夜這いだぁ!?そんなんさせてたまるか!!」
「なんで嫌がるの?俺、こんなにタマの事愛してるのに…」
「嫌がるに決まってんだろ!!俺はお前の愛には答えられない…」
胸の奥で突き刺さる何かを感じたが宮田には黙って置こう。
宮田はしばらく黙っていたが、不意に俺を前から抱きしめて来た。
「み、宮田?」
「タマ…俺はね、別に周りからどう思われても構わないんだ。俺は、大好きなタマから一番愛されたい…愛して欲しいんだよ」
背中にまわされた腕が小さく震えていた。こいつ、緊張してるな…。
「ねぇ、聴きたく無いかも知れないけど、俺の気が済むまで言わせて…」
宮田が俺の耳元に唇を寄せて囁いた。
「タマ、愛してる…」
「止めろ…」
「愛してるよ」
「宮田!!」
「…愛してる」
宮田の抱きしめる力が強まった。
何度も何度も、宮田が『愛してる』って囁くから俺も段々感覚が鈍って来たらしい。
宮田の背中に腕をまわしギュッと抱きしめて、永遠に続くんじゃないかと錯覚させられる甘い囁きを目を綴じて真剣に聴いてる自分がそこにいたからだ。
「タマ、愛してるよ…」
俺は宮田を抱きしめたまま、横になった。スプリングの軋む音がゆったりと鳴った。
こいつの声、こんなに心地良かったっけ?
聴いてるだけで何故か癒される。
横になる瞬間宮田は驚いたらしく囁くのを止めてしまう。
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