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「宮田、気が済んだのか?」
「タマこそ、そんなに良かった?うっとりしてる…」
「愛してるって言葉、嫌いな奴はいないだろ?」
「そうだね。俺も……好き♪」
俺は目をゆっくりと開いた。
宮田がまだ笑ってくれていると、確信していたから。
「宮田…俺が好きか?」
先ほどと同じ体勢になった宮田が目を丸くしている。
「へっ?な、なんで今更そんな事聞くの?」
確かに、さっきまであんなに愛の言葉を囁き続けた宮田に俺は何を聞いているんだ?
「俺は宮田を……ちょっとだけ好きだ…」
俺はどうかしている。
今俺は、夜這いなんかしてくるアホがちょっと好きだなんて口走っている。しかも、言葉にしてみて顔が熱り出してもきている。
俺、マジでコイツが……。
「タマ…」
宮田の顔が徐々に笑顔へと変わり、幸せオーラが痛い程伝わってくる。
「愛してるよ…♪」
宮田の唇が遠慮がちに近寄ってくる。それを俺は見つめ、重なった瞬間目を綴じた。
ただそれだけ…。
キスなんて幾らでもしてきたのに、宮田とはなぜか【自分】が崩されて行く。そんな気にさせられる。
宮田はそれ以上はしてこなかった。ただ触れるだけのキスを唇にして離れて行く。
「止めよう…」
「宮田?」
俺は目を開き宮田を見つめた。
宮田は俺から顔を背け、口を手で覆っていた。
「これ以上俺を煽んないでくれ。タマの嫌がる事はしたくないし、嫌われたくない」
「宮田…」
俺は満面の笑みで言ってやった。
「大っ嫌い♪」
言ってやった。やっと言えた。
うじうじとしている宮田は前からムカついていた。
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