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この際だから一挙にやってしまおうと思った。そうしたらしばらくは宮田も静かだろう。
「じゃぁ、『ご主人様』って呼んで♪」
「調子に乗るな」
「えぇー、今『他には?』って言ったじゃん」
「馬鹿、言うか」
いきなり目を輝かせた宮田に若干の怒りが込み上げて来た。
「言ってよー、『愛してます、ご主人様』って」
おぃおぃ、セリフ増えてんじゃねぇか。
「ふざけるな!!」
「駄目……か」
宮田の落胆する声に、怯んでしまった玉森は大きく息をはき、諦めたように言う。
「一回だけだかんな」
「うん♪」
仕方ない……。
これもある意味仕事だ。
面倒くさそうに小さい声で言ってみる。
「ご主人様…」
「違う!!」
突然、声を張り上げ否定され、驚く。
「えっ?」
「もっと感情を込めて!!」
なんか演技指導みたいだな……。
つか、宮田に演技指導をされる日が来るなんて。
「ご主人様……」
「声を大きく!!」
「ご主人様!!」
「そのまま可愛いく!!」
可愛いくだぁー?調子乗んなよ…
「…ご主人様♪」
宮田に向けてひきつった笑顔を見せる。
「そんなんじゃ、萌えないぞ!!」
「チッ……宮田のくせに」
調子に乗り出した宮田にムカつき、半分やけくそでこの変な演技指導に取り組む。
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