桜庭物語

こんな私にも失敗はありました。

こんな私にも、失敗はありました。
母の指輪をなくしたことがありました。

こんな私にも、失敗はありました。
綺麗に洗濯を干せない子でした。面倒なだけだったのです。

こんな私にも、失敗はありました。
本当は、愛されたいだけなのです。

こんな私にも、失敗はありました。
ようはこういうことです。
ドラマの見すぎなんですよ。
みんなそうなんです。

失態や醜態を晒す自分が実は好きなんです。
“人間らしいじゃないか”といってもらいたいのです。
少なくても世界に一人はいるのです。
その一人は、私です。
私は、人間らしいと言われたくない、誰よりも人間らしい人間です。

こんな私にもし、失敗が、汚点が何一つなかったら
人に一度たりとも愛されなかったのかもしれません。

失敗のない人間にはきっと
愛嬌がないと思うからです。

私には、失敗がついてきます。
いつか愛嬌に変わるために。