1696人が本棚に入れています
本棚に追加
「窓からおまえが生橋に肩掴まれてるの見えて、なんかすごくムカついてさ。気づいたら、中庭まで全速力で走ってた。
……で、なんで赤くなってんの?」
真樹は不思議そうにそう言って私の頬を触り、「うわ、超熱い」と目を丸くした。
ふいっと顔を背けて俯き、髪で赤く染まっているのを隠す。
……どうしよう。
なんかもう、"嬉しい"を通り越して……恥ずかしくて仕方がない。
他の奴に触られるのが我慢できない、とか。
……さらっとそうゆうこと言わないでほしい。
困るのは、何故かこっちなんだから。
両手で顔を覆うようにして火照りを冷ましていると、真樹がひょいと私の顔を覗き込んだ。
「どうした?」
「……どうもしてない」
「……じゃあなんでまた顔背けんの」
「気のせい」
こんな赤くなった顔見られるの、恥ずかしい。
だから必死に顔を背けて素っ気ない返事をしていたのに、それは逆に真樹をむっとさせることになった。
両手を掴まれ、再び顔を覗き込まれる。
「ちょ……やっ」
「こっち見て」
少し低くなった声にビクッとして、恐る恐る真樹を見る。
真樹は真っ直ぐ私を見つめて、やっとふわっと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!