1696人が本棚に入れています
本棚に追加
/567ページ
「最近ずっと生橋がいたから、こうゆう時間、あんまりなかった気がするんだ」
「こうゆう……時間?」
「ゆっくり、一緒にいる時間」
あ――同じだ。
そう思った瞬間、私は無意識に顔を緩めて笑っていた。
私も、真樹が足りないって思ってた。
もっと一緒にいたい、触れ合いたいって、歯がゆさを隠してた。
真樹も――同じだったんだ。
「真樹」
そっと呟いて、真樹の手を握り返す。
「来てくれて……ありがとね」
結局、真樹の気持ちは見えそうで見えない、ぼんやりと靄のかかったまま。
私が何か言ったり聞いたりすれば、それははっきりするのかもしれない。
でも――いいんだ。
最初のコメントを投稿しよう!