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"もしかして"と何度も浮かんでは、"でもやっぱり"と打ち消していく想像。
はっきりさせてしまえば、その夢は終わる。
そこから新たな関係が今の上に築かれるかもしれないけれど、今までの関係が全て崩れてゼロになる可能性だってある。
私はまだ、この夢に浸っていたい。
だから――
「走って来てくれて……すごく、嬉しかったよ」
そう言って、笑って見せる。
真樹はじっと私を見つめた後、「うん」と笑って頷いた。
互いに強く繋いだ手が、互いの温もりを求め合うようで……とても、温かい。
私たちは、こんな風に隣にいるのが日常で。
その日常が崩れたとき……こんなにも、苦しくなってしまうから。
だから――お願い。少しだけでいいの。
少しだけでいいから……
もう少し、このままで――……
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