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時は少し遡り、一ヶ月前。
「今日のLHRでは、六月にある文化祭のクラス展について話し合いたいと思います」
教卓の前に立つクラス委員の伊藤くんがそう言うと、教室がざわめいた。
まあ、そりゃテンション上がるよね。
私はというと「文化祭」という言葉にわくわくしつつもそれを表には出さず、黙って頬杖をついていた。
うちの高校の文化祭では、クラスがそれぞれ自分の教室を使って、例えばお化け屋敷などのクラス展を行い、各クラスから選ばれる審査員や一般の方からの投票で、学年ごとに順位を決める。
体育祭や合唱大会と共に"三大行事"と呼ばれるのだから、それこそお祭り騒ぎになるのも無理はない。
「まずはテーマから決めたいと思いますが、何か意見はありますか?」
みんなが周りの人と話し合うなか、「はいっ」と勢いよく手を挙げた男の子がいた。
クラスでリーダー格にある、佐賀くんだ。
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