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みんなの期待を一身に受けるなか、佐賀くんは伊藤くんが指す前にガタッと音を立てて立ち上がった。
「みんな……六月と聞いて、何か思い浮かぶことはないか?」
どこか気取りながら言った佐賀くんの言葉に、みんな小さく笑いつつ首を傾げる。
周りをぐるりと見渡した後、佐賀くんは右腕を伸ばし、人差し指を天井に向けてビシッと立てた。
「ずばり!ジューンブライドだろ!」
…………すべった。
教室中を、微妙な空気が包み込んだ。
みんな苦笑いを浮かべ、顔を見合わせている。
言い方はふざけているのに言っていることはまともなので、笑うべきか感嘆すべきか困っているのだ。
当の本人はというと、自分の作り出した空気を気にもしない様子で話を続けた。
「ま、冗談はさておき……」
あ、冗談だったんだ。
だったら笑っとけば良かったな。
「結婚をテーマにするのって、ウケ良さそうじゃない?女子はそう言うの大好きだし、カップルも集まりそうだし」
佐賀くんの言葉に、みんなうんうんと頷く。
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