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「歩奈ちゃん!」
教室のドアが勢いよく開くと同時に響き渡った声に、私は口の中にあった卵焼きを喉につまらせた。
「ん、んーっ」
真っ赤になってもがく私に、沙恵はすかさず水筒の蓋を開け、「はい」と渡してくれた。
お茶と共に何とか飲み込み、ほうっと息をつく。
そしてゆっくりと、ドアのところに立っている人物へ視線を移した。
「生橋くん……」
生橋くんはニッコリ笑い、私に小さく手を振った。
私も、苦笑いしつつ手を振り返す。
「毎日ご苦労なことね」
沙恵は生橋くんを見つめ、呆れ顔でそう言った。
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