ep.0 This is Destiny?

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「ってことで。僕は右京桃介っていいますとも」 運命なんてのも如何なものかと思ったので、名乗ってみた。 「ウキョウトウスケ? なかなかトゲトゲしい名前だな」 「どこがだ。桃だぞ桃」 「モモ?」 彼女が首を傾げる。 「桃って書いてトウなんです」 「モモスケかよ」かっこわらい。 僕は躊躇わずにダンボール男(既に僕が排除済み)に蹴りを入れる。 「いってえ! なにしやがんだモモスケ!」 くっそ。変なこと言うんじゃなかった。 僕はダンボール男を無視することにする。 「僕は右京桃介。キミは?」 また、拒絶されるだろうか。彼女には名乗りたくない理由があるんだろうか。 「ええ。私、ね」 やっぱり。名乗りたくないのか。 「私はエコ。香宮エコ。正しくは恵子」 「え?」 「コウミヤケイコ。香宮恵子よ。エコでいいわ」 「随分と地球に優しい名前だね」 「素敵でしょ?」 ああ。と素直に頷く。 「そうね。貴方は、モモでいいわね」 「モモ?」何が? 肉? 「貴方のニックネームよ。桃介だからモモ」 ずびし! と指を指される。 「ありがとう。一応お礼は言っておくけど、却下」 「「ええっ?」」 エコちゃんは解るけど、お前はなんだダンボール男。 「最高のエコ名じゃねえかー……! 羨ましい」 「エコ名ぁ? 何を」 ダンボール男が頭を抱える。なんで? 「初恋相手限定のエコ名だよ……羨ましい」 もうついてけないよ、って僕が頭を抱えたくなる。
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