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「た、確かに、ちょっと強引なくらいが女の子は可愛いかも知れないけど! なんか違う! 強引の度合いってか意味合いが違う!」
「ああもううるさいわね流石に黙りやがれだわ!」
僕は彼女に引っ張られているので(首に巻き付けたストールを)彼女の表情は見えないけれど、初めて感情を露わにした気がする。彼女が。
「どこ行くんだよ!」
「私の家だってば」
ちなみに自転車は橋の真ん中に放置されている。
誰も盗るなよ、と願いながら、無理かーと諦めている。
「そろそろ、首も苦し」
「じゃあ手でもいいわ」
ストールをバッと離され、思わずよろける。
「痛い痛い! なんで指一本なんだあたたたた」
彼女はストールの代わりに僕の指を一本だけ掴み、ずんずん進んでいく。
すまん。人差し指。犠牲になってくれてありが「いたた」
…………あれ。もしかして、僕初めて、女の子と手を繋いだ……?
「……何とも言えないシチュエーションである……」
「もう直ぐ着くわよ」
あ、そっすかー。と適当に返す。投げやり。
「ああ………」
溜息っていうか、嘆き?
こんな非日常は別に求めてはなかったさ。
そういえば、死んだあいつはどうなったんだろう。
何で、彼は殺されたんでしょうか。
僕の唯一のクラスメート(?)だったのに。
友達ではなかった気がする。
だから、奴と僕の関係は、クラスメートでいい。
「着いたわよ」
ああ、と僕は頭を上げた。
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