ep.0 This is Destiny?

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彼女に連れられ、もう無抵抗な俺は、辺りを見渡す。 パティスリーの中から、一人好青年の優男が顔を覗かせていて、僕は曖昧に会釈をする。 「彼はパティスリー『Taught』のパティシエよ。私が家賃を徴収しに行くと、色々アタックされるから鬱陶しくて好きじゃないわ。ちなみに店名は彼の名前からきてたりする」 「へー……名前?」 「ええ。貴方が平凡な生活を送りたいのなら、彼には関わらないことね。名前とか。訊かれても教えないほうが無難ね」 「変わり者なのか」 優男そうなのに。 「ええ。どちらかというと、人殺しね」 「、」 「あら。どうしたの?」 「……………………はい?」 エート、ホンジツニカイメノソラミミ。 「ああ。人殺しと言っても。彼の意思では殺さないわ。彼はそれが職業なの。殺し屋ってやつね。本人は『パティシエが殺し屋とかなんか素敵』とか寝言言ってたわね」 「殺し屋……?」 そんな職業が実在するんですか。とか、いや違うよ落ち着け僕。 「それは犯罪ではなかろうか………!」 「ええ。まあ。そりゃあ、犯罪よね」 認めちゃったー。認めちゃったよこの子。いや、認める認めないじゃなくて。一般常識っていうか。ああ、もう。 「僕はとんでもない非日常に足を突っ込む気がする」 「歓迎するわ」 丁度、彼女のおうち兼事務所の前に着く。 なんで。なんで僕は足を踏み入れるんだろう。 ああ。先に死んだ奴が。呪っているんだ。と無理矢理納得させた。
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