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僕の非日常を推進するのは、ダンボールだった。
うん。ちょっと嘘。
「なんだァ? お前」
ダンボールに迫られる。ダンボール。ダンボールだけど、めっちゃ睨まれてる気する。中身人間だろうし。
「お前が何だ……」
呆れながら溜息を吐かせて頂く。向こうがキレる一歩手前くらいで、僕がダンボールを取って投げ捨て「ぎゃー!」
「なんだ。中身は普通の人間じゃないか」じゃなかったら困るんだけど。
ダンボール男(仮)は、普通の青年だ。同年代か、ちょっと下くらいかな。
少し赤味がかった、ショートカットの茶髪。至って普通。
まあ、僕のプライドというものを棄てて説明すれば、そこそこのイケメン。きっと女子から見たらもっとイケメン。
「おい! なんだこの男! 随分と面倒だぞ!」
ダンボール男が、彼女に問い詰める。
彼女は何食わぬ顔で、「101人目の初恋相手」と返す。
「ッ………!」
2秒くらい僕を睨んだら、特に面食らったという様子もなく、ダンボールなしで再び僕に迫る。
慣れてるんだな。多分。って思わせる風貌だ。
「お前が、記念すべき101人目だと……?」
「記念すべきは100人目じゃないのか」キリもいいし。
「うっせえ! 100人目はノーカンだ! なかったことだ!」
「へー。そうなんだ」
心底どうでもいい感を出していたら、頭突きされた。
「痛い。痛いじゃねえか」
「あぁ?」
まだお互い名も名乗っていないのに、関係性は絶望的だ。
ある意味運命だ。
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