NGワード

11/14
前へ
/14ページ
次へ
 やっぱ好き。  伝えたい。  付き合いたい。  気持ちが風船に息を吹き込むみたいに、膨れ上がる。  破裂しそうでこのままじゃ仕事に集中できない。  『社内恋愛禁止』  そんな言葉が頭に浮かぶ。  だからブレーキがかかる。 『結局社内恋愛はどっちも辞めなきゃいけないてこと』  晴子ちゃんの言葉が浮かぶ。 『好き』  それは言ってはいけないタブー。  でも人って『ダメ』って言われれば言われるほど、止められなくなる。  自分が悲劇のヒロインになったつもりに勘違いして。 「あのさ、西井さんって誰か付き合ってる人いる?」  その言葉は私が聞いちゃいけない言葉だった。  気持ちが一気に地の底の底へと誘われる。  顔を上げて鈴木さんを見ると照れてた。  それは私が見てはいけない顔だ。  なんで晴子ちゃん……? 「ーーっ、いますよ」  悔しくて声が上ずっていた。  泣きたくなってでも堪える。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加