6人が本棚に入れています
本棚に追加
言ってしまえば終わる関係。
でも言わなきゃ、何も始まらない。
「ったく、バッカじゃないの!」
「荒れてるね、千尋」
休憩室で吸うタバコがこんなに不味いと思ったのは久しぶり。
イライラして灰皿に吸殻を捨てる。
缶コーヒーを一口飲むと、口に残ったタバコの名残でさらに不快感が広がる。
「なんであいつってあんなにバカなんすか?」
「あいつって、鈴木さんのこと?」
「そうですよ、信じらんない!」
晴子ちゃんに愚痴っても仕方ないってわかってるけど、そう言わずにはいられない。
二畳ほどの狭い休憩室に私と晴子ちゃんしかいない。
あるものも自販と灰皿、空気清浄機、あとはそれぞれの荷物を置く整理棚だけ。
扉の開く音がして私たちは腰を浮かせる。
“愛と夢を売る不思議な王国”が私たちの店。
最初のコメントを投稿しよう!