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いわゆるパチンコ屋。
上下関係の厳しい店で上司が入ってくれば、部下は立って挨拶をしなければならない。
だから扉の開く音がすると、私たち下っ端は腰を浮かせる癖がついてしまってるのだ。
「なんだ、鈴木さんか」
「なんだってなんだよ」
入ってきたのは役職者じゃなくて、私が晴子ちゃんに愚痴っていた話題の『鈴木望』だった。
緊張していた分、気が抜けるとだらしなくなる。
「べつに、どういう意味でもないです。晴子ちゃんもう行くね」
「えっ、でもまだ1、2、分あるんじゃ……」
「いいですよ、野上さんちょっと早く行かないとお小言言われますから」
そう言って私は休憩室から戦場へと戻った。
パチンコ屋なんて出入りが激しくて当たり前だ。
勤めて二年目になるけど、毎月誰か辞めていく。
「えっ、じゃあ桃井リーダーが辞めたのって、松本班長と付き合ってたからなんですか?」
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