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え、だから
「バカ葵ぃいッッ!!」
全力で上り坂を走る
茜は炎天下の中、部屋を飛び出した切り行方不明の栞を探していた
家に帰っているものだと思い、栞の家に行ったが誰もいなかった
携帯にも出ないし、メールも返ってこない、もう散々走り回ったが
「…ここにも…いない!!」
今いるのは、いつも演技の練習をしてる公園だった
足を止めたとたんに汗が次々と滲み出て、ポタポタとアスファルトに跡を付けた
「…駅前もッ…はひぃッッ…学校もッッ…うぇッッ…コンビニもッッ……いなッッ…おぉおうぇえッッ」
あまりの体力の消耗に嗚咽が止まらない、汗もひかない、髪の毛が顔にひっついて、うっとうしい
「…栞ぃ…どこぉ…ぉぇ」
アスファルトの汗の跡が、葵の部屋で見たものと重なった
「…ぅッ…えッ……」
どんなに走り回っても、見つからない…どこ行ったの…
「……あ~~!!もうッッ!!暑い~ッ!!栞ぃい~~ッッ!!どこだ~ッ!!バーカバーカッ!!!ブァアアアカァアアアア!!!」
「…茜…ちゃん?」
聞き覚えのある声だった
ゆっくり振り返ってみた
「……」
「……」
そこにいたのは、目を赤く晴れ上がらせた栞と
先程まで話題に昇っていた浪江先輩だった
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