0人が本棚に入れています
本棚に追加
その言葉が栞の怒りの火に油を注いだ
「…馬鹿にしてる…?」
微かだが声が震えている
だが葵は続ける
「そもそもお前が持ってきたこの企画。誰と決めたものだ。」
「…!!」
栞の顔が怒りでみるみると赤くなる、いや日焼けのせいで肌が焼けているから赤茶になっている
「私の考えでは部長と副部長の浪江がそこにいたはずだ。そこに浪江がお前を呼んで言ったのだろう
「童話とかって葵ちゃん、書けるのかな?」
とかな」
「!!」
図星らしい、葵は続ける
「そこで浪江は部長に提案する『童話とかって文化祭の醍醐味(だいごみ)じゃない?』」
栞は黙って葵を睨む
「そうね~、例えば北風と太陽とか~、青い鳥~とか、あとはほら~
栞ちゃんの大好きなプリンセスなんてどうかしら?」
ダンッ!!!
ダッダッダ
バタンッッ!!!
栞は床を思いっ切り叩きつけると乱暴にドアを開け部屋から飛び出してしまった
それと同時に夏特有の暑さが頬を横切った
床を見てみるとたくさんの涙の跡がついていた
「…!?栞!!」
私は急いで立ち上がり、栞を追いかけようとする
「……馬鹿が。」
と葵の氷のような声が部屋に冷たく響いた
最初のコメントを投稿しよう!